皆さん、日本の時価総額2位(2020年11月24日現在)のソフトバンクが何の会社かご存じでしょうか?
日本の携帯会社だけに留まらず、Yahoo・ZOZO・PayPayなどソフトバンクの事業、さらに投資先のアリババ、T-Mobile、Uberの事業を含めると世界中で本当に様々な事業を手掛けています。
『ソフトバンクは何屋さんですか?』『本業は何ですか?』『通信が本業ですか?』と聞かれるが、私は通信が本業だと思ったことは一生涯で1日もない。1秒すらない。
さっそく見ていきましょう。
ソフトバンクは何をしている会社なのか?
ソフトバンクグループは、ソフトバンクを含む複数の事業を抱える持ち株会社です。
圧倒的知名度を誇るワントップ孫正義会長兼社長が率いていおり、その配下で様々な事業を展開しています。
上の図のセグメント状態から「arm」と「ブライトスター」は売却する方針が発表されていて、左2つビジョン・ファンドを始めとする「投資事業」と携帯やYahoo・ZOZO・PayPayなどの「ソフトバンク事業」に集約されてきています。
ちなみに孫さんは、ソフトバンク株式会社の会長も勤めています。
ただ、2017年頃から「ソフトバンクグループは投資会社」と言いきっており、次の保有資産の図の方が、現状を認識するのに適しているのかもしれません。
一目でわかる通り、なんといってもアリババです。
2000年と2004年に投資した80億が、20兆円以上(一部売却済み)にもなり、今のソフトバンクを支えています。
その他、「ビジョン・ファンドで投資した会社」「Arm株」と続き、ソフトバンク株式会社(SBKK)は株式価値としては今や全体のわずか6%程です。
そのポートフォリオは、GAFAMなどのアメリカのIT界の巨人から、Uber、Zoom、アリババグループなどの中国のIT企業、有望なユニコーン企業と世界中のIT分野に及んでいます。
キーワードはAIで、2021年3月期 第2四半期決算資料では「AIを制する者が未来を制す」と言いきっていて、ターゲットをAI分野と見定め、投資していく方針です。
なぜ次々に大型買収できるのか
ソフトバンク=孫正義さんは創業以来、世間をあっと言わせる大型買収や投資を繰り返してきました。
2004年:3400億円 :日本テレコム買収
2006年:1兆7500億円:ボーダフォン日本法人買収
2013年:1兆5700億円:米国携帯電話会スプリント買収
2016年:3兆3000億円:英国の半導体設計大手アーム買収
2017年:10兆円 :ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)立上げ
いずれも日本企業の買収・投資としては、規格外の規模です。
なぜこれだけの大型買収ができるのでしょうか?
それは、
「借金をしているから」
ソフトバンクの2021年の第2四半期決算資料によると有利子負債は15.5兆円。
下の図のようにソフトバンクの借金(有利子負債)は雪だるま式に膨れ上がっています。
世間では、「孫さんは借金があることを、さらに大きな借金で忘れさせる」などと揶揄されています。
15兆円以上にもなる借金を抱えて、ソフトバンクの経営は大丈夫なのか。
そもそも、なぜこれだけの借金ができるのでしょうか?
15兆円も借金があって大丈夫なのか?
ソフトバンクはなぜお金が借りられるのか。
言いかえると、なぜ銀行や投資家はソフトバンクにお金を貸すのでしょうか?
その理由は3つあります。
①保有資産の価値が30.9兆円ある
②ソフトバンク事業が毎年8000億の安定した営業利益をあげている。
③孫正義への信用
1つ目はその資産価値です。
ソフトバンクの保有資産の価値は時価総額14.9兆円を大きく超える30.9兆円です。
貸す側からすると最悪資産を売却すれば回収できるとの安心感があります。
2つ目が、携帯やYahooなどのソフトバンク事業の安定収益です。
株の資産の割合としては小さくなってしまっていますが、毎年8000億を安定的に稼ぐ収益力やプロ野球球団やCMなどで高めたブランド力はあなどれません。
世間の信用力高める大きな要素となっています。
3つ目が、孫正義さんへの信用です。
サウジのムハンマド副皇太子と会談した時は、わずか45分でビジョン・ファンドへの4.6兆円の出資を決めてしまいました。
アリババやYahooを初めとする数々の投資の成功で「アジアのバフェット」とも言われる世界有数の投資家となった孫正義への信用はゆるぎないものがあります。
そもそも、孫正義でないと、こんな大規模な買収を連続でやろうとは思わないんですけどね。
銀行としては日本2位の企業となったソフトバンクをつぶすわけにはいかないとの思いもあります。
これらの3つにより、「借金が多いけど、ソフトバンクは大丈夫だ」と判断されている事が、ソフトバンクが大型買収の度に借入ができる理由なのです。
では、これだけの資金を集め、様々なIT企業に投資して、孫正義は何がしたいのでしょうか?
結局、孫正義は何がしたいのか?
様々なIT企業に投資し、1大グループを創り上げて、孫正義がやりたい事。
それは「情報革命で人々を幸せにすること」
これは孫正義さんが昔から一貫して言っている事であり、「孫正義の志」です。
これが、孫正義さんがやりたい事です。
そのための戦略が「群戦略」です。
✓群戦略の特徴
- 会社名にソフトバンクのブランドを付けない(ソフトバンク○○○)
- 各業界のNo.1の会社の群れを目指す
- 経営権は持たない、株の取得は20~30%程度
- 反面、財閥と違い、グループ企業への優遇はない。
⇒さらに有望な企業買収のためには、売却される事もある
⇒世の中の変化により衰退する業界である場合、やはり売却される事がある
有望な企業と投資関係を結ぶ事でグループ(群)を作り、その先頭に立ちオーケストラの指揮者のように誘導していくのがトップである孫正義の役割。
ソフトバンクは投資会社に見えますし、実際お金をあつめてたくさんの企業の株を保有し、時に売却し利益を上げています。
しかし、孫正義の狙いは「情報革命で人々を幸せにする」ために、戦略的な起業家集団を作り、その指揮を取っていく事。
世間の人々にわかりやすく説明するためにあえて卑下して「投資会社」と言っているのです。
参考:日経ビジネス記事「孫正義氏「我々は投資会社ではなく、情報革命屋さん」」
そもそも企業が存続するためにお金を儲けようとする事は、悪い事でも何もないですけどね。
次々に大胆な買収や投資を行ってきた結果、ソフトバンクの資産価値は右肩がりで上昇しています。
ソフトバンクはこれだけ買収をどんどんやっていても、一度もリストラしたことがありません。リストラどころか、我々は常に人材募集している。それは伸び行く産業に絞っているから。伸び行く業界の会社をグループに入れることによって、より大きくより早く伸びるということです
ソフトバンクのウイークポイント
ソフトバンクに死角はないのか?
もちろんあります。それは、強烈なワントップ孫正義。
あまりに突出したリーダーであるため誰もその変わりが出来ないのです。
孫さんの体調不安のニュースが出るだけでソフトバンクの株価は暴落するでしょう。
そもそもアーム買収、ソフトバンク・ビジョン・ファンドって何なの?
孫正義さんの行動に興味がでた方、次の記事で最近の活動についてまとめていますので、チェックしてみて下さい。