ウォーレンバフェットの10の失敗から学ぶ投資の極意【投資の神様の後悔】

ウォーレンバフェットの失敗失敗偉人伝

投資の神様とまで言われたウォーレンバフェットは、「自身が理解し、好ましいと思う企業の株しか買わない」という、己の信念にしたがい投資をすることで有名です。

その信念と世界長者番付の上位に顔を出すまでの実績には隙がないように思えますが、バフェットも我々と同じように数々の失敗をしています。

「投資の神様」がどんな失敗をしてきたのか、その事実から投資の世界に開いている落とし穴について学びましょう。

全て回避するのは無理でも何個かは避けられるようになるはずです。

そして失敗から見えてくる投資の極意に迫ります。10分ほどの内容です。投資をしている方はぜひ最後までご覧ください。

ウォーレンバフェットの実績

いまさら言うまでもないですが、投資の神様とまで言われたウォーレンバフェットはこれまで数々の実績を残しています。

1962年から現在までダウは30倍になりましたが、バフェットの会社であるバークシャー・ハサウェイの株価は3万3333倍になっています。

単純計算で1000倍以上のパフォーマンスを出しているのです。

どのようなヘッジファンドでもインデックス投資より良いパフォーマンスを出すのが難しいと言われている投資の世界で長期的にこれだけの実績を残すのは奇跡的です。

その偉大さを分かっていただけるのではないでしょうか。

バフェットは心配症

年自身の投資パートナーに送るレターでは、バフェットの慎重な姿勢をうかがい知ることができます。

1962年:もし私のパフォーマンスが悪ければ、投資家の皆さんが資金を引き揚げることを覚悟しています。

1963年:これから数年後には、私が皆さんが罵声をあびる時が来るのは間違いありません。

1965年: ダウ平均を16%も上回る成績をいつまで続けられると考えてはおりません。

1968年: これは全くの幸運でしかありません。ブリッジでスペードが13枚配られたようなものです。

もちろん、慎重だからバフェットが弱気と言うわけではありません、バフェットには明確な理念があり、同じくレターで次のように語っています。

私は現在の潮流についていけません。しかし、1つだけはっきり言える事があります。

自分が分かっているこれまでのやり方を捨てるつもりはないということです。確かに私の方法はここにきて効力が失せてきており、将来大きな損失を出すかもしれません。

それでも私は、自分が十分に理解できない新しいやり方が大きな利益を生み出すように見えたとしても、それを採用するつもりはありません。

では、これだけ信念がありかつ慎重さを兼ね備えた「投資の神様」がどんな失敗をしてきたのか、その事実から投資の世界に開いている落とし穴について学びましょう。

ウォーレンバフェットの10の失敗

①バークシャー・ハサウェイの買収

最初にして最大の失敗案件は、現在の自身の持株会社であるバークシャー・ハサウェイの買収です。

バークシャーはもともと、アメリカのネブラスカ州オマハに本社を置く、紡績会社でした。1962年、バフェット氏は同社の本当の価値よりも安値で取引されていると確信して、同社株を買い進めました。

決して同社を保有したいと思っていたわけではなく、経営者に適正な価格で買い戻させることを期待した取引でした。

1株当たり7~8ドルの取得価格に対し、一度は11.5ドルでの買戻しを約束させたものの、強欲な経営者からは11.375ドルのオファーが届きました。

これに腹を立てた彼は、逆に同社株を大きく買い集め、1965年にはついに経営権を握ってしまいます。

しかし綿紡績会社としてのバークシャー・ハサウェイには、バフェットいわく「あまり利益にならない綿紡績関連の資産」がついてきました。

0.125ドルを妥協できなかったことで、それから約20年にわたり巨額の赤字を出し続けるこの事業に苦しめられることになったのです。

綿紡績事業への投資を続ける代わりに保険会社を設立していれば、時価総額があと2億ドルは成長していただろう

このように振り返っています。その後の投資活動にバークシャーを活用し、社名もそのままにしているのは、「二度とこのような失敗はしない」という決意の表れなのです。

ここから学ぶべきは失敗は忘れるのではなく次への糧とする姿勢です。

②ソロモンブラザーズの買収

1987年のソロモンブラザーズに投じた7億ドルは最終的には利益がでているが、1991年に入札を巡るスキャンダルが明るみに出ると精神的に非常に負担になる取引となった。
>>LTCMの失敗 | ノーベル経済学賞受賞者の計算ミス

当然バフェットと言えども未来のスキャンダルは予想できません。

③USエアー株

1990年USエアー株の12%を取得したものの同社の優先株は無配へと転落してしまいます。
取得価格は3億5800万ドルだったが、数年後には8600万ドルへと下落、76%も目減りしました。

④デクスター・シューズ買収

金額的に最も大きい失敗がデクスター・シューズ買収劇です。

バークシャーはデクスター・シューズを4億3300万ドルで買収したが、同社の価値は数年後にはゼロになりました。

また、支払いをバークシャーの株で行っており、デクスター・シューズの価値はゼロになったが、バークシャーの株価はその後も上昇し続けました。

結果的にゼロとなる企業を買うために74億ドルを支払った事になってしまったのです。

この失敗の背景には次のようなものがありました。

  • バフェットはこのシューズメーカーを買う前にH・H・ブラウン、ローウェルシューズを買収して大成功していた。つまり、成功体験にすがってしまった。

  • 自分の「能力の範囲」を少し出てしまい、輸入靴に対する需要が減少する方に賭けた。

  • 買値の安さに目を奪われて、十分な防壁を備えたビジネスかどうかの確認を怠った。

  • デクスターの買収を仲介してくれた、H・H・ブラウン社長を信じきっていた。

バフェットでも自身の成功に酔い、以前の成功パターンと同じ案件だと過信し、間違いを犯すことがあるのです。

⑤再保険会社ゼネラル・リ買収

バフェットでも同じ過ちを繰り返さないわけではありません。

デクスター・シューズでのに大失敗からわずか5年後、220億ドル相当のバークシャー株を投じて再保険会社ゼネラル・リを買収して、また失敗しています。

2018年6月バフェットは取材に対して次のように語っています。

バークシャーが2009年に440億ドルを株式と現金で支払い買収した鉄道会社バーリントン・ノーザン・サンタフェを除き、株式で支払った買収案件はどれも間違いだった。

なぜなら、バークシャー株は収益率で市場全体を大幅に上回っていたため、株式交換で手に入れたどの資産も自社株の収益率にはかなわなかったからです。

自身の活躍が招いた皮肉な結果ではありますが、バフェットでさえ失敗を繰り返している事実があります。私たち一般投資家が何度も失敗するのは当然ですよね。

ただ、バフェットが、過去の決定を振り返って残念がることはありません。

嘆き悲しむために過ちを思い返すことはしない

過ちを思い返すのはそこから学ぶためなのです。

⑥コノコ・フィリップス

2008年、原油価格が好調で、バフェットは世界の6大石油会社のひとつコノコ・フィリップスの株を一株82.5ドルで約8490万株、70億ドル分買いました。

しかし、2009年、原油価格が値下がりし、コノコ・フィリップの株価は51.8ドルに下落し、26億ドルの評価損。

バフェットは損切りをします。

私はこの年の後半に起こったエネルギー価格の急激な下落を予測していなかった

長期投資家で有名なバフェットですが、損切りするときはすっぱり損切りしています。

素直に間違いを認め、やり直す(損切りする)、投資の基本ですが、スケールが大きいですね。

⑦IBMへの投資

広く知られているとおり、バフェット氏は長年、テクノロジー株を避けてきました。
理由は、よくわからないものには投資しないから。

ITバブルといわれた1990年代後半に、自らの能力の輪の外にあるIT関連株に一切投資しませんでした。そのためにバフェットの投資成績はインデックスの上昇に117%も後れを取ると言う珍しい事態となります。

バフェット流投資は終わった

とまで言われました。

ところが2000年にITバブルが崩壊、他のファンドが大幅下落する中、バフェットはパフォーマンスを維持し、逆に彼の投資眼の正しさが証明されました。

やっぱりバフェットが正しかった...

そのバフェット氏が2011年にテクノロジー分野のIBM株を大量取得し、買い増し続けたことで、世間は驚きました。IBMは、創業から100年を越すコンピューターサービスの老舗です。

ところがバフェットの購入後、IBMは変化の激しいIT業界にあって、次の柱となる事業を育成できず、低迷が続きます。

2015年の決算発表後にインタビューでは、

IBM株が下がるのは、大好きなんだ。我が社が安値で買い増しできるじゃないか

と上機嫌で語り、保有し続ける姿勢を強調していました。

しかしIBMの低迷は続きます。

2017年5月のインタビューでは、「IBM株への見方を下方修正した」と述べトーンダウン。

投資開始から7年後の2018年にはIBM株のすべてを手放しています。

バフェットはIBM購入時の2011年に株主に宛てたレポートで次のように書いています。

「2010年の3月のある土曜日に突然、IBMに対する具体的な投資の目論見が鮮明に浮かんだ。それまで50年以上にわたりIBMの年次報告を読んできたが、何も感じなかったにもかかわらずだ」

IBMへの投資は、直感に従ったもののようです。

自身のスタイルを時代に合わせて柔軟に調整していく姿勢は素晴らしい事ですが、その時にはその企業自体が時代遅れになってしまっていたという皮肉な結果です。

投資のスタイルを調整する時は、長年培った知識が通用しない分野なのでより慎重になる必要があります。

⑧米ソフトウェア大手のOracle株

バフェットは2018年の7-9月期に、米ソフトウェア大手のOracle株を21億ドル相当で購入しました。

一般的には知られていませんが、Oracleは世界で一番売れているデータベースOracleの大ヒットで急成長した会社で日本でも多くの企業で利用されています。そのシェアは圧倒的で競争力のある商品を開発できる会社です。

しかし同年10-12月期には早々に手を引き、全額売却しています。

理由は、「その前に購入したIBMの教訓から得たもの」だそうです。

「買い始めた後も、同社のビジネスを理解していないと感じたから」とも言っており、近年Oracleはクラウド企業への転換の最中であり、その進捗が不透明なことから売却に踏み切ったようです。

IBMの教訓から「よくわからないものには投資しない」との姿勢をより強固なものとしたようです。

⑨アップル・アマゾンなど「IT企業」への投資

IBMやOracleと同じIT企業でも、アップルやアマゾンはBtoC(Business to Consumer:消費者向けビジネス)を基本としており、どちらも強力なブランドを築いていると評価して、投資を継続しています。

「需要がわかりやすい」という点において、「わかるものに投資をする」という、バフェットの原則にも則っています。

ただ、世間では

さすがにこのタイミングでの投資は割高じゃないの?

と言われています。

バフェット自身も次のように述べています。

人に質問をするなどもっと早くアマゾンに投資する事ができたはずだ、失敗した

バフェットが買った時には、すでにアップルの成長には陰りが出始めていました。iPhoneより安い中国製スマホがシェアを伸ばしている。特に、新興国でその傾向は顕著です。

ただ、この投資の結論は出ていません。IT業界の帝王としてGAFA (※)と呼ばれるアップルとアマゾンが、世の中でますます重要度を増していくITの世界で、さらに大きく飛躍する可能性は十分あります。
(※)グーグル(Google)、アップル(Apple)、フェースブック(Facebook)、アマゾン(Amazon)の4社

今年、バフェットは89歳です。この年齢で考えを変えて新しいIT分野を認め、その上でIBMで失敗すると言う仕打ちをうけたにもかかわらず、あらためてITの有力企業を認める。なかなかできる事ではありません。

実績のある人ほどプライドが自分の間違いを認める邪魔をする筈であるのに、世界で最も成功したと言われた投資家が間違いを素直に求めて再チャレンジできるのは本当にすごい事ですね。

投資家にプライドは不要なのですね。

⑩クラフト・ハインツ株

2015年、クラフト・フーズとH.J.ハインツの合併の際、バフェットは出資しており、その取得比率は26.7%にものぼります。

同社の株価はこのところ、昨年の最高値と比べておよそ2分の1、約2年前と比べれば3分の1程度に下落しています。
その影響で、2018年第4四半期(10~12月期)の決算で約254億ドル(2.8兆円)の巨額赤字を出してしまいました。

クラフト・ハインツの不振の原因は次のような点にあります。

  • 人々の健康意識が高まり、価格の安い大量生産型の加工食品よりも、多少値が張るが品質が良い自然食品への需要が高まっている

  • 複数のカテゴリーを横断して商品を提供するネット通販大手アマゾンの脅威

  • 会員制の大型スーパー、米コストコなどとのブランド力競争での劣勢

クラフト・ハインツが現在のような規模で製品を販売できるようになるまでに(ハインツ創業から)150年近くを要したことを考えれば、アマゾンとコストコが手掛けるブランドの急成長ぶりは信じがたいスピードです。ここでもゲームのルールが変わろうとしています。

バフェットはインタビューで「われわれはクラフトに払い過ぎた」、「クラフト・ハインツを巡り、いくつかの点で判断を誤った」と認めています。

間違いは誰にでもあります、それだけに特定の銘柄に入れ込み過ぎは禁物です。

最後に

偉大な投資家もこれだけの失敗をしており、そこから学べる事は多いですね。
教訓を振り返ります。

バフェットの失敗からの教訓
  • 失敗は忘れるのではなく次への糧とする
  • 予想できないスキャンダルは起きる
  • 誰でも自身の成功に酔い、間違いを犯すことがある
  • 過ちを思い返すのはそこから学ぶため
  • 素直に間違いを認め、やり直す
  • 投資のスタイルを調整する時は要注意
  • よくわからないものには投資しない
  • 投資家にプライドは不要
  • 特定の銘柄に入れ込み過ぎは禁物

間違いも投資の一部であることを認めているのもバフェットの強みです。
バフェットは投資家への年次レターの中で「間違い」と言う言葉を163回使っているそうです。

バフェットの投資スタイルである長期投資で「一つの銘柄を保有し続ける」のは実はとんでもなく大変な作業です。

例えばアマゾンは1997年の新規株公開(IPO)から387倍になっています。10万円投資していたら3870万円なっているということです。
しかし、実際に10万円を投資して20年後に3870万円にするのはいくつもの困難を乗り越えなければ達成できません。

ただ保有してるだけだから簡単じゃん

そのように思われる人もいると思いますが、20年間の間に株価が半値以下になったことは3度あります。1999年12月から2001年10月までの下落率はなんと95%です。投資を始めて一旦は540万円まで増えましたが、30万まで下落したのです。

これに耐えられると言いきれる人はいないでしょう。

ですので長期で大きく値上がりした株をみて「あの時買っておかばよかった」と考えがちですが、実はずっと保有し続けるのはとんでもなく難しい作業なのです。

手に入れた金の卵を落とさない為に必要なことは、自らの投資ルールや信念です。
ただ、卵の中には痛んでしまうものもあるかもしれません。

失敗を許容し、微調整しながら、信念を貫き通す。

これが「投資の極意」ではないでしょうか。

このとんでもなく難しい作業を実践できていることがバフェットの偉大さなのです。

ちなみに彼の好物は1988年からずっとコカ・コーラだそうです。

バフェットお得意のジョークで彼はコカ・コーラの長期投資で成功しています。

(おしまい)

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