皆さんは投資での失敗談はありますか?
でもこれらの失敗って世の中では「知られている」失敗ですよね?
なんとなく知っていても、ついやっちゃうんだよ!
そうなのです、知っていても失敗してしまうのです。
何故人は失敗を繰り返してしまうのか?
それは単純に「知らない」もしくは「本当に理解していない」からではないでしょうか。
『車輪の再発明(reinventing the wheel)』という慣用句があります。
失敗も先人たちにより『発明』されています。本記事ではバフェット、リバモア、本間宗久、cisなど著名な投資家10人の失敗についてまとめました。
せっかくの発明を知らない事は危険であり、失敗における『車輪の再発明』をまねいてしまいます。
ぜひ本記事でその投資界の偉人たちの発明(失敗)を知り、投資行動の有効なブレーキを手に入れましょう!
著名投資家の実話ですので、興味を持ちより深く理解してもらえると思います。
LTCM、最強ファンドの失敗
1990年代のアメリカにはとんでもない投資ファンドが存在しました。通称LTCM、そのファンドはノーベル経済学賞の受賞者、FBRの元副議長などが在籍する金融界のオールスターチームでした。
その理論と運用に死角はないように思えましたが、アジア危機をきっかけとした世界市場の混乱の中、わずか4年でその歴史に幕を閉じることになります。
なぜ完璧なチームが失敗してしまったのか?
その破綻の原因は、「人の心」を計算に入れていなかった事でした。歴史やデータから理論を組み立てても恐怖で動く人間の行動を全て予測する事はできなかったのです。
この失敗から学べる事、それは「完全な必勝法など存在しない、過信してはいけない」ことです。
ジェシー・リバモアの生き様
1900年代前半に活躍した「ウォール街のグレートベア」の異名を持つ大投資家ジェシーリバモアは、その天才的なトレードで何度破産しても蘇る不死鳥のような投資家でした。1929年のダウの大暴落時には空売りで1億ドルの利益を得ました。
そんな彼も最後は破産してピストル自殺を遂げます。
彼の人生から学べる事は、「投資のゴールを決めるべきである」という事です。
彼は相場に取りつかれた人間でした。決して「投資のスリル」自体が目的となってはいけません。その終わりなき投資の先に待っているのは破綻しかないのです。
ソロスの愛弟子スタンレー・ドラッケンミラー
スタンレー・ドラッケンミラーは、あの世界最高の投機家ジョージ・ソロスの愛弟子です。ソロスに認められるだけあって優秀な人物で、世界情勢を読み解き、数々の相場をものにしてきました。
そんな彼が、ITバブルでよくわからない株に投資して、高値掴みで大損害を出してしまいます。
百戦錬磨の彼がなぜそんな過ちをおかしたのか?
この事例で特質すべきことは「彼もこのような投資が失敗することは、分かっていた」事です。
ドラッケンミラーの失敗から投資家が学べる事は「結局、いざとなったらどのような行動をするかはわからない」との「あきらめ」なのでした。
cisの流儀
日本の現役の著名投資家cis氏、その資産は230億で、しかもtwitterなどで頻繁に発信している貴重な存在です。
ツイートで日経平均が動いたりもします。そんなcis氏でもいくつか手痛い失敗をしています、しかしそれは後に語る事ができる程度のダメージでなんとか済んでいます。
その秘訣は「損切りの速さ」です。
声の大きい投資家は数年すると消えてしまうのが常ですが、cisさんは自身が認めるように護り型の投資スタイルで素直に失敗を認める判断の速さにより、今も相場の世界に君臨しているのです。
岩本栄之助
岩本栄之助は、父親の後を継ぎ大阪で株式仲買商になります。
日露戦争後の好景気により株価はバブルとなっていました。地元の株の仲介人はこれに売り向かいますが、中々相場は崩れず破産寸前。
この事態に共に売り向かい救ったことから「北浜の恩人」と呼ばれます。義理人情に厚い親分肌の相場師として人気でした。
第一次世界大戦末期、株式市場は暴騰を続けていました。バブルがはじける事を予想した栄之助は売りに転じます。
ところが、崩れそうで崩れない相場に栄之助はピンチに陥ります。
「この名物男を殺したら北浜の恥になる」と地元は救済にのりだしますが、栄之助は自宅の離で無念のピストル自殺を図ります。
米国のもの言う株主ビル・アックマン
数々の大企業を相手に「もの言う株主」として利益を上げてきているビル・アックマン。その手法は日本の村上世彰氏とは違い「売り」も行う、激しいものです。
ターゲットとなる企業を空売りした上で、その企業の不正などのネガティブキャンペーンを行い、暴落させたうえで利益を得るのです。
近年、アックマンは手痛い失敗をします。 健康補助食品大手のハーバーライフに対して「ネズミ講」だと確信をもって大規模ネガティブキャンペーンします。
ところが、株価が下がらないどころか、上がっていきます。彼は目立ち過ぎたため別のヘッジファンドに狙われてしまったのです。
アックマンは正義を前面に押し出した手前、中々撤退する事ができません。
結局、長期間苦しんだ末に損切りすることになります。
彼の失敗は、私たちに「投資」と「発信」は切り離すべきで、売買に影響を与えるような発信はひかえるべきである事を教えてくれます。
相場の神様、本間宗久
世界で初めて先物取引が行われたのは日本の江戸時代の米相場でした。本間宗久はその米相場で名をあげた人です。
相場の神様と言われるほど取引に精通し、生涯で相場から得た利益は現在の貨幣価値で1兆円以上と言われています。
そんな宗久も、地元の酒田から江戸に出た時は大きく負けています。それは後に本にまとめることになる奥義を守れなかったからです。
あるとき、宗久は「非風非幡」(ひふうひばん)の公案を課せられます。
二人の僧が旗の動くのを見て、一人は「旗が動いている」と言い、もう一人は「いや風が動いているのだ」と言い争いをしていました。その時、六祖が現れて、「あなたたちの心が動いているのだ。」と言い放ちました。
その時、宗久は悟りました。
相場を動かすのは、旗(米の価格の動き)でもなく、風(天候や在庫量、米の作柄)でもなく、それを見ている人の心が動かしているのだと。
負けた取引では、旗と風ばかり見て「人の心」が見えていなかったのです。
元祖成金、鈴木久五郎
鈴木久五郎は、その相場の強さだけでなく、豪遊で知られています。元祖成金と言われる由縁です。
相場で連戦連勝するなか、毎晩料亭を貸し切り一流芸妓と乱痴気騒ぎに明けくれていました。
しかし、それも日露戦争後の好景気の終りととともに終焉となります。大暴落に買い向かい全財産を失ってしまうのです。
あれだけ大盤振る舞いだった久五郎も晩年はお多福餅も変えないほどお金に困る事になります。
鈴木久五郎の失敗が教えてくれる事は、勝っても慢心せずに身の丈にあったトレードをするという事です。決して、常に全財産を賭けてはいけません。
ウォーレンバフェットの失敗
投資の神様と言われるバフェットですが、結構失敗しています。しかし、投資界のレジェンドとして今なおその栄光に陰りは見えません。
なぜなのか?
それは彼が、失敗を許容し微調整しながら、それでも信念を貫き通しているからです。
本当に惚れ込んだ銘柄が下落したとしても、そこに信念があれば決して売らないのです。ただ、間違いと思ったものについては柔軟に失敗を認めて、売却します。
そのとんでもなく難しい作業をバランスよくこなせるのが投資の神様たる由縁なのです。
最後に
いかがでしたでしょうか。
最後に身も蓋もない事を言わせていただきますと、この記事を読んでもあなたは失敗するかもしれません。
じゃあ、この記事はなんだったんだよ!
そのような声が聞こえてきそうですが、人は知識として知っていても自分で体験しないと、自分の身を削らないと『本当の理解』はできない物なのだと思います。
でもこの記事が全く役に立たないわけではありません。
事前に失敗のパターンを知識としてして入れておく事で、この記事にあるようなケースの失敗を(願わくば)小規模で体験した時に、身につく度合いが異なります。
「あー、あの記事で書いてあった事は本当だった」と思った時に人はより深い経験として蓄積できます。
ソースは私です。
知識があっても人間は失敗を繰り返すとの理論は、「定期的に発生するバブル」や「10年に1度発生する大暴落」などの事実が証明しています。
願わくばこの記事が、「あなたの失敗がかすり傷程度ですみ、大きな学びを得ていただく」一助になれば幸いです。
また、(なるべく)失敗をしないで投資を始める方法については、次の記事で体系的にまとめていますのでそちらも参考にしてみてください。
参考資料
数が多すぎで書ききれないため割愛します。各記事の「参考資料」を参照ください。
- 本カテゴリの記事は基本的に主人公寄りで書いています。
- 極力資料に基づき記載していますが、会話の内容など一部脚色しています。
(おしまい)