cisVSウォーレン・バフェット | 長期投資と短期投資どちらがギャンブルなのか

cis-VS-Warren-Buffett

cis氏は短期売買を得意としている日本の個人投資家で、資産は230億です。

売買金額の大きさとtwitterの発言で株価が動くことから『一人の力で日経平均を動かせる男』と呼ばれています。

本記事は、cis氏と世界的大投資家ウォーレン・バフェットの投資スタイルや考え方の違いを通して、
①長期投資と短期投資どちらがギャンブルか
②投資信託は「あり」か「なし」か
について論じたものです。

2人を比較するのは無茶じゃないかと言う人もいるかも知れません。

確かに世界規模と日本国内の一投資家で資産規模も全然違いますが、共に私達(わたし)が羨む領域の利益を得ているとの点では変わらないので、問題ないと考えました。

本記事の結論を書いてしまうと
①両方ギャンブル
②「なし」

です。大物2人の理念を紹介しつつ結論を導き出しています、5分ほどお付き合いください。

本記事の内容
  • cisとウォーレンバフェットの投資理論
  • 長期投資と短期投資どちらがギャンブルなのか
  • 投資信託は「あり」か「なし」か

cisとバフェットの投資理論

まずは、二人の投資に対する考え方をご紹介します。

「もう知ってるよ」という方はこちらのリンクから結論に進んで下さい。
≫長期投資と短期投資どちらがギャンブルなのか
≫投資信託は「あり」か「なし」か

バフェットの投資理論

バフェットの投資理論

今更語る必要はないかもしれませんが、投資の神様とも呼ばれるバフェットの投資スタイルは、短いスパンで運用テクニックを駆使するようなものではなく、自身の哲学を貫く堅実型です。

バフェット
バフェット

もし、これから先の10年間にわたって株式市場が閉鎖になったとしても、喜んで保有していたいと思える株だけを買いなさい

バフェットの資産は9兆円と言われており、世界長者番付の常連で2019年は3位です。

2019年世界長者番付

1位:ジェフ・ベゾス 1310億ドル
2位:ビル・ゲイツ 965億ドル
3位:ウォーレン・バフェット 825億ドル

最近は自身の会社バークシャーに「現金があり過ぎるほどあるが、投資先がなく困っている」ことがニュースになっていました。

cisの投資論

cisの投資論

次にcis氏の投資理論についてご紹介します。

ちなみに吹き出しで使っている画像はtwitterの顔画像から、ドラクエ好きで年1,000万円課金したこともあるそうです。

cisの投資手法

cisの投資手法

230億円を稼ぎ「一人で日経平均を動かせる男」と呼ばれる個人投資家・cis氏。

2018年も12億円以上の利益を上げたといわれています。その資産内訳をみると現金が多いです。不動産も持っていますが、「管理が大変で流動性も低く大失敗、罰ゲームに近い」と語り、保有を後悔しているようです。

cis氏の資産の内訳
  • 現金 70%
  • 不動産が10%
  • 再保険商品が10%
  • 外貨建て債券などが6%
  • 金とプラチナ 2%
  • 株 1%弱

その投資法を一言で言うと「値動きに順張り、材料に逆張り、仮説を立てる」

基本的に短期投資で、値動きに対して素直に順張りするのが基本戦略です。

「下がっているからそろそろ反転するだろう」「大分上昇したからそろそろ売り時だ」などの人の予想を「確率は平準化するとの理論による勝手な妄想 」 と否定しています。

ですので押し目買いも「下がっているのに買う」逆張りなのでNG。ただ、ただ、値動きで状況を判断し売買します。

cis
cis

割安とか割高とか、将来この会社の業績は伸びそうだとか、そういった要素は自分が勝手に思い込んでいるにすぎない。何かを予想してお金を賭けるのはギャンブルと同じだ。

投資で利益を確保しようと思ったら「すぐ先にあるわずかな優位性」を生かすしかない。

例外的にあり得ない材料で下がっている時に逆張りすることはあります。

また、「こういう事態が起きたらどう行動するか」との仮説と行動を数十以上考えていてストックしています。そのおかげでジェイコム誤発注事件時には、素早く行動し6億円もの利益を得ています。

投資手法については別記事「cisの投資の極意【値動きに順張り、材料に逆張り、仮説を立てる】」で詳しくまとめています。

リスクヘッジは意味がない

また特徴的な流儀として「リスクヘッジ」は基本的にやりません。

cis
cis

どんなときにも上がるか下がるかの絶対的な答えなどない

どんなに儲かりそうなシチュエーションでも買った瞬間にライブドアショックやリーマンショックが起きるかもしれません。「配当狙いで東京電力の株を買った直後に東日本大震災が起きた」と言う話もあります。

それでも自分が儲かる確率が高いと思う場合にリスクをとって、利益を得ようとするのが相場。

だからリスクヘッジは基本的にやらないそうです。

cis
cis

リターンをもとめてリスクを取っているのに、そのリスクを分散させるためにコストを使うのではリターンを薄めるだけ

ファンドマネージャなどのプロはマイナスの期間があるとクビになってしまうのでリスクヘッジし、成績を平均化する必要があるかもしれないが、個人トレーダーとしてはヘッジする意味がない。

ピンチとチャンスは紙一重であり、受け入れるしかない。

一撃19億

一撃19億

cis氏を知ってもらうために一つエピソードをご紹介します。


2018年、中国での省力化投資の本格化や、日本では人手不足や働き方改革による自動化のための投資が好調なことからFA関連銘柄が高騰していました。

2018年の大発会、 cis氏は米国市場でも日本市場でもFA関連銘柄が買われて大きく上がっているのを見て、安川電機やファナックといった銘柄を買い漁りました。

2018年1月下旬に安川電機の決算が発表されました。しかし好決算だったのですが、翌日は4%も下げた。

cis
cis

潮目が変わるな....

cis氏は予想外の下げ機運になった瞬間に安川電機をはじめとするFA関連銘柄をすべて売却。さらに返す刀で、日経平均先物を空売り。

FA関連銘柄の安川電機やファナックなどは日経平均株価への影響も大きく、これまで相場を引っ張ってきたFA関連の下げは全体に影響するだろうと仮説を立てたのです。

予想通り2月は日経平均が大暴落し、こんなツイートをして話題に。

なんと含み益は19億円になったのです。

「一撃19億」

なんと含み益は19億円になったのです。

長期投資と短期投資どちらがギャンブルなのか

お二人のご紹介が終わったところで本題に入ります。

『長期投資と短期投資どちらがギャンブル』なのでしょうか?

おいおい、バカ言うなよ。短期投資がギャンブルに決まっているじゃないか

確かに一般的には
  短期:ギャンブル(投機)
  長期:投資

と言われることが多いのですが、cis氏のように短期投資のスタイルで長期間儲けている人もいれば、長期投資で資産を大きく減らしてしまう人もいるのは事実です。

バフェットとcisの意見

「cisの投資手法」でご紹介しましたが、cis氏は長期投資であろうと未来を予想する行為に賭けるのはギャンブルとの意見です。

ちなみに、ウォール街のグレートベアの異名を持つ大投資家ジェシー・リバモアも同様の事を言っています。

 リバモア
リバモア

相場の動きを漫然と「期待して待つ」のは博打であり、忍耐強く待ち、シグナルを見いだした瞬間「反応する」のが投資・投機である。

バフェットは短期投資をギャンブルとも長期投資をギャンブルではないとも発言していませんが、自分の投資する会社を一生持ち続けてもいいと思えるまで徹底的に調べ、そのリスクが限りなく低くなるように努めています。

それは次の発言からも伺えます。

バフェット
バフェット

私は馬鹿でも経営できるほど優良な企業の株を買うようにしている。なぜなら遅かれ早かれどの会社もそういう人が経営するのだから。

ただ、いくらリスクヘッジしても不確かな未来に賭けている事実は残ってしまいます。

次項からお二人の意見を参考に本記事の結論をだしていきます。

利害の総和の分類からの視点

よく、次のような全利害の総和の分類から、投資とギャンブルを区別する・優劣を分けるような主張をみかけます。

長期投資(投資):プラスサム
経済や企業の成長に応じてパイ(規模)自体が大きくなる。損をする人は必要ない。

短期投資(投機):ゼロサム
全体の総量は一定でそれを投資家同士で奪い合う、得がする人の影には損をする人がいる。

ギャンブル(賭博):マイナスサム
控除率がありトータルで行けば必ず負けるようにできているとも言える。 例えば競馬では全掛け金の74.1%が配当として当たった人に振り分けられ、26.9%は主催者が取ります。このようにリスク率よりリターンが少ない。

しかし、現実に照らし合わせた時にこんなにきれいに分かれるものでしょうか?

上記の理論から長期投資(投資)は安全と言いますが、すべての企業や業種が拡大していくわけではありません。結局、経済や企業が投資期間に上がるか下がるかに賭けています。

プラスサム(プレーヤの利得の合計がプラス)と言いますが、たしかに還元率はないけど証券会社から手数料はしっかり取られています。合計がプラスでも金融商品によってはマイナスになり得ます。

短期投資(投機)も手数料の面からゼロサムとは言えませんよね。

結局、リスクを取るのはプレーヤーで同元(仲介業者)が儲かるのは一緒で、この論調には胴元(証券会社)のポジショントークが含まれているのだと思います。

ギャンブルの定義と結論

ブリタニカ国際大百科事典

ギャンブル: 競技や遊戯に金銭,物品を賭けて勝負を争うこと。

ギャンブルの言葉を調べると辞書ではだいたい上記のような定義です。

わたしは「予測がつかない、結果が定まっていないものに、 金銭・物品を賭けて勝負を争うこと」と捉えています。

その点から考えると短期も長期も元本が保証されていない時点でギャンブルです。

投資は所詮ギャンブル

長期も短期もただ単に不確かな未来に対する理論期待値(儲かる確率)を上げるアプローチの違いだけではないでしょうか。

本記事の結論: 長期投資と短期投資どちらもギャンブル

個人投資家が実践・模倣するとの観点

蛇足ですが、個人投資家とくに「サラリーマン投資家が実践しやすいのはどちらか?」との観点では優劣がはっきり出ると思います。

短期投資は瞬発力やテクニックがいるのでそもそも難易度が高く、株価の頻繁なチェックも必要でその点でもサラリーマン投資家には厳しい。

一方、長期投資は1日の中での買うタイミングの重要度は短期投資に比べると下がるので、個人投資家も十分闘えます。

投資信託は有効な投資商品なのか

次は2つめの議題である投資信託についてです。

結局、個人投資家が行う投資は低手数料のインデックスファンドがベスト

最近、このような意見が多くなってきています。

インデックスファンドとは、日経平均などの特定の指数と値動きが一緒になるよう運用される投資信託です。

バフェットとcisの見解

バフェット
バフェット

私のアドバイスはこれ以上ないほどシンプルです。

「10%の現金で米国短期債を買い、残る90%の現金でS&P500に連動する非常に低コストのインデックスファンドを買う」のが良いと思います。

2013年の自身の経営するバークシャーの株主向けの手紙でこのように書いており、インデックスファンド推奨論が増えてきたのはこれが発端なのかもしれません。

バフェットの発言は次のような前提から出ています。

  • 個人投資家が個別に判断して投資したとしても、指数を超える結果を得られる事は難しい
  • プロが運用する投資信託でさえ、平均すると指数を下回っている

一方、cis氏は次のようなスタンスです。

cis
cis

投資で一番よくないのは、信託報酬のある投資信託などの商品を長く持ち続けること。信託報酬が3%としたら1万円の所得は9700円に減り、買付手数料や売却手数料もかかります。解約の時に手数料とられるケースもある。

そもそも相場のプロとかスーパートレーダーとかって、だいたい幻想で、ぼくはいないと思います。

絶対稼げるという人なら、まともな経済効率性を持っていたら、分離課税のことを考えると数億くらいから会社をやめて個人でやりますし。

人にお金を預けて自動で増えるというのは、なかなか厳しい気がしますね。

「人に預ければ勝手にお金を増やしてくれるし安心」というのは、そもそも発想として間違っていうと言っています。

cis
cis

「元本保証でリターンがこんなに!」みたいな広告を見かけるけどあり得ない。年に3%以上の利回りを保証するものは巧妙にリスクが見えにくいスキームになっているか、詐欺のどちらかと思った方がいい。

初心者へのアドバイスするとしたら「自分が納得する企業の株式現物を手数料が安い証券会社で買いましょう」になるそうです。

バフェットを否定?

cisは投資会社のスーパートレーダーを否定するけど、でも世の中には凄い長期投資家とかもいるじゃん。じゃあウォーレンバフェットも否定するの?

それに対するcis氏の意見はこうです。

cis
cis

彼はすごい資産を築いていますよね。でも彼の資産って、純粋な投資というよりも、投資で得た利益をもとにお金を集めて作った投資会社の、持ち株の時価総額なんですよね。トレーダーとか個人投資家というよりは、スーパービジネスマンなのかなと思います。

時代の良さと頭の良さもはもちろんのこと、コミュニケーション能力と体力も必要。

実は、cis氏も投資会社を作ったことがあります。
5人の友人をトレーダーとして雇い、cis氏のノウハウを教え込み、億を稼ぐプレーヤーを量産しようとしました。月給35万円で一人1000万円からスタート、その結果は....

バフェットを否定

2400万円にした人が1人だけで、他の人はチョイ勝ちがチョイ負け。同じ教え方をしても5人いれば5通りの違うやり方をしていたそうで、ぜんぜんコントロールできなかったそうです。

結局、会社としての収支は給料の分だけマイナス、2年間で35万×24ヶ月×5人=4200万円。

その後も2つほど事業をやったがいずれも失敗しました。株の損切りは得意でも人の損切りは苦手。

つくづく自分に事業を興す才能がないと痛感したそうです。

cis
cis

だからぼくにはバフェットの真似したくてもできないですね。

投資信託は「あり」か「なし」か

投資信託は「あり」か「なし」か

バフェット氏のインデックス・ファンド推奨の発言は次の前提で発言されています。

①どんな相場環境でも常に投資をすると仮定
②長期で見れば株は上昇する

一旦相場を休むなどの人の判断が介在する余地がなく、また1年、5年スパンで株価低迷で損失を被っていてもいずれ上昇してプラスになるとの思いが込められています。

※実際、米国株はそのような歴史を歩んできていますが、日本はそうでもないです。

しかし、「リスクが低くてまず大丈夫」と思い初心者が始めて1年、5年スパンで株価低迷したら投資を辞めてしまう確率が高いですし、明らかな下落局面では投資を回避するなどの余地を奪うのは行き過ぎだと思います。

私もcis氏と同様、「人に頼る」という発想は思考停止につながり、いざという時の対応も取れなくなるのでよくないと考えています。

しかも手数料を取られ、売買の自由度が半減しますので、インデックスファンドを含む投資信託は「なし」だと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。本記事の結論です。

結論
  • ①長期投資と短期投資どちらがギャンブルなのか
    ⇒元本保証されないものに賭けているので両方ギャンブル
  • ②投資信託は「あり」か「なし」か
    ⇒「人に頼る」という発想も含め「なし」

投資には波がありますし、もちろん未来のことはわかりません。

特定の時期や地域などの相場を切り取って、結局アレを買っておくのが一番効率がいいというのは簡単ですが、危険だと思います。

本結論は、時代や地域や投資種類に関わらず言える真理であると確信しています。

ただ、間違えないでいただきたいのは投資がギャンブルだからやっちゃダメとの結論ではないということです。

リスクがあるということを認識して余裕資金でやる分には、大きく資産を増やす可能性がある素晴らしいものだと思っています。

本記事を通して、cis氏とバフェットをより詳しく知りたいと思った方は次の記事もチェックしてみてください。

★cis

★バフェット

参考資料

本記事作成にあたり次のサイト・本を参考にさせていただきました。

◆書籍:
ビッグミステイク レジェンド投資家の大失敗に学ぶ

億万長者をめざすバフェットの銘柄選択術

一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学

◆WEBサイト:
230億の男が明かすトレードのスタイル

◆YouTube:
中田敦彦のYouTube大学:【お金の授業】学校では教えてくれない「資産運用の鉄則」〜素人が必ずハマる罠編〜

免責事項
  • 本カテゴリの記事は基本的に主人公寄りで書いています。
  • 極力資料に基づき記載していますが、会話の内容など一部脚色しています。

(おしまい)

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