個人投資家cisさんの資産は230億と言われています。というか自分のTwitterのプロフィールで公表しています。
普通ある程度の資産ができると防犯上の観点から露出を避けるようになるのですが、cisさんの場合は場中にTwitterで発言するなど、その情報を目にする機会が多い投資家です。
また、声の大きい個人投資家は数年たつとその姿を見なくなるのが常なのですが、cisさんは2002年頃から長期に渡り第一線で発信し、資産を増やし続けている稀有な存在です。
ライブドアショック、リーマンショックやチャイナショックも乗り越え、アベノミクスやトランプ相場にうまく乗ってきた真の投資家と言えます。
この記事は、著書『一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 』やTwitterでの発信やメディアの取材、掲示板での発言などからcisさんの投資手法や考え方をまとめたものです。
cisさんは、「2ちゃんねる」のオフ会で優秀な投資家達に出会い、その手法をまねたことから勝ち始めたそうです。
私たちもcisさんの極意や投資エピソードに触れ、億り人へのヒントをつかみましょう。
cisの発言集
まずは、cisさんの考え方を端的に現した発言集からどうぞ。
ちなみに画像はtwitterの顔画像から、ドラクエ好きで年1,000万円課金したこともあるそうです。
相場の格言
相場の間違った格言って何?
「売り買いは三日待て」
これ何回の千載一遇のチャンスを逃せばいいん・・・・?!
といいたい
損切り
損切りを躊躇する思考が全くないのですか?それとも克服する方法を知っているのですか
全くないです。
というか損切りという概念が全くない。
損とか利食いとか考えて売買してることは無いってこと
自分の買値を考慮して売買して自分の利益になる事は全くないじゃん
それに自分の売買を基準に市場が動く事もないじゃん。
だから買値を気にしても全く意味がない。
過去の発言について
昨日さ、今年一億以上稼いだ俺様がみずほ空売ってるから、っていってもう内緒でドテンしているわけね。。。
私はみずほホールド側だけど↑のような言い方をするからcisってやつ大嫌い!!!
はあ?
相場は一分でも売り買いが変わるんだよ。
流れ
cis、麻雀だって流れが悪い時はまず上がることだろ
流れなんてものが科学的に証明された事は一度もない。
勝つ秘訣
cisさんは株だけでなくポーカー、麻雀、パチンコと様々な分野で勝ってきました。
常勝cisが、どのような分野でも行ってきた必勝法があります。
それは、「成功している人の意見を参考にする」ことです。
わかりやすい正解がある世界ではないが、「負けているのに自分のやり方に固執していては勝てない」ということが、実体験として身体に沁みています。
また、色々な人を見てきたが、頭の良さは関係ない、行動力だと言っています。
勝てない人は、その分野の第一人者のやり方を聞いて、自分のやり方を見直す「行動」から始めてみるのがお勧めだそうです。
その他、勝つ秘訣として次のような点を挙げています。
モチベーションの維持:
相場は日々変わるギリギリの勝負。不思議なバブルも起こるし、変化があって知的好奇心が尽きなかった。長いこと楽しみながら時間と労力を費やすことができた。
時代と運:
2000年以降でないとネット証券で短期トレードできなかった。逆にこの先はコンピューターが技術介入してきて人の手では勝てなくなるかもしれない。生まれるのがあと50年遅ければこんなに稼げなかった。
トレードの勉強:
実践を自分でやるのが一番。お勉強なら実際にやっている人に聞くのが一番だが、実践に比べたら微々たるもの。
その分野で勝っている人から学び、これだと思う方法を見つけたらひたすら実践/継続が上昇の秘訣のようです。
投資で勝ち始めたキッカケ
株を始めた当初、cisさんは、割安株を買って長期にわたり保有する手法(長期トレード)を利用していました。ただ、芳しい成績は得られず、他の方法を模索。
転機は「2ちゃんねる」のオフ会に参加した事でした。投資で儲けている人たちの話を聞きながら次のような事に気付きました。
投資で利益を確保しようと思ったら「すぐ先にあるわずかな優位性」を生かすしかない。
このオフ会以後、長期トレードをやめ、値動きだけを見る短期トレードに変更。
すると連戦連勝、利益がでるようになっていきました。
値動きに順張り
オフ会前は、上がっている銘柄を見て、『いずれ反転して下がるはず』と考えて、逆に賭けて(空売りして)失敗するということが何度もありました。
そして気付きました。
株がいつ上がり、下がるかなんて誰も分からないのに、自分の『こうあるべき』というものを優先している
確実なのは、『今、上がっている』という事実だけ。
こうして、勝手な予想はせず、上がっているうちは持っておくという投資スタイルにたどり着きました。
いわゆる「順張り」、これが基本スタンスです。
相場を左右する要素、企業の動向や景気の流れを読むのではなく、相場がどう動くかについてロジックを組み立てて買いつけするのです。
大事な損切り
投資で大事なのは損を減らす損切りの判断だといいます。
2度目の押し目で売ることを心がけています。投資をしていて失敗するのは当たり前、失敗をいかに最小限にとどめるかが大事です。
自分の負けを確定する行為だからつらい、なんて言ってないでさっさとやる、でも上がってしまったらまた買う。
辛いのはそっち、損切りさえ間違いを認めるわけだから。
利益確定を遅く
矛盾するようですが、利益を出来るだけ大きくする、出来るだけ引っ張ることの重要性も説いています。ただし、逃げる時はすぐ逃げる。
上がった株をすぐに利益確定するのは、本能的な行動だ。しかし、上昇局面での利益確定は勝つための方法として間違っている。
いま上がった株は、そこから反転して下がるよりも、さらに上昇を続ける可能性のほうが高い。正確にいえば、可能性が高いというより、勝負の効率がいい。
せっかく上がっている株なのに売ってしまい、今日の勝利を確定することで、明日や明後日の勝利を捨ててしまうことになる。
僕は、利益を最大限に伸ばすことを大事にしている 。
材料に逆張り
cis氏の戦略は基本順張りなのですが、材料での上げ下げには、逆張りすることがあります。
例えば、企業の価値と直接関係ない理由で暴落している銘柄は積極的に買います。
逆張りする例
- 海外要因「トランプさんが何か言った」みたいなので下げた株
- 北朝鮮の「ミサイル下げ」
- イギリスのEUからの独立
日本市場の混乱もあったが、正直イギリスが独立してもしなくても、ほとんどの日本企業の価値は変わらない。あれで日経平均が1000円も落ちたのは信じられない。 - 子会社の不祥事で親会社が大きく下げる
東レの子会社の小規模な不適切会計によって親会社が大きく下げは買いで勝負。
本体の企業規模に対し、本来数パーセントの影響もない範囲のことなのに、株価を下げている場合には戻りを狙う。 - ドコモの発表で楽天が下げる
2018年11月、ドコモが「携帯料金を最大4割下げる」と発表し、NTTドコモは15%安、親会社のNTTはストップ安となった。このとき、携帯事業にまだ参入していない楽天まで急落。720円あたりで150万株くらい買い。
この直後、偶然にもKDDIとの提携を発表し、「無理な値下げはしません」と公表。楽天の株価は急反発し、20%ほど上がった860円あたりで売り、2億円ほどの利益に。
つまり、「関係ないのに雰囲気で下がっている」みたいなもので勝負するのである。
仮説を立てておく
cisさんが大きく資産を増やしたのは2005年12月8日のジェイコム株大量誤発注事件です。
みずほ証券の担当者が東証マザーズに新規上場した人材派遣会社のジェイコムの株を誤発注した事件。午前9時27分で初値が付く前に「61万円で1株の売り」と注文するところを「1円で61万株の売り」と入力してしまったことに起因する。
この事件で20億円以上の利益を稼いだB・N・F氏は、その後「ジェイコム男」と呼ばれた。
cisさんはこのチャンスに素早く動き、約6億円の利益を得ます。
ジェイコム事件のcisの動き
9:27 誤発注により初値が90万円⇒67万2000円
9:29 みずほ証券の担当者、ミスに気付いて取り消し注文。しかし、当時の東京証券取引所のシステムでは取り消すことができない。
9:30 ストップ安の57万2000円に張り付く。
9:32頃 cis氏、2ちゃんねるの株掲示板に投稿により誤発注に気付く。ジェイコムの上場資料を確認、61万株は発行済み株式数の約40倍だと認識、誤発注だと確信。この間、約20秒。
9:33頃 cis氏、パソコンのウインドウを次々と開いて片っ端から500株ずつの買い注文を入れ3300株の購入に成功
9:43 みずほ証券は全発注量を「反対売買により買い戻す」ことを決定、一時ストップ高77.2万円にまで高騰
9:44頃 cis氏、ストップ高で3300株売却、約6億円の利益を得る
このトラブルではストップ安を悪材料と勘違いして安値で売ってしまった投資家もいるなど市場は混乱しました。
何が起こったのか分からず、傍観しているだけだった「こわくて何もできなかった」トレーダーが大多数です。
ではなぜ、cisは冷静の行動し、6億もの利益を得る事が出来たのか。
それは、「この事態を想定していたから」です。
日本で大きな誤発注が起こったらどうするか、ということを考えていたから勝てたのです。
ほとんどの人が考えていないけれど、こんなことが起きたら、こんな展開で儲かるなあ
cisさんはこのような仮説を常に考え、数十個ストックしています。
だから、それが現実となった時に、想定した作業として素早く動けたのです。
ちなみに仮説の中で、昔からマージャンなどでも大勝しずぎると元締めなどに抑えられたりした経験から、儲けをチャラにされる事を恐れていました。
そのため素早く利益確定し、現金化していました。まわりにはもっと儲けた人はいたのですが、cisさんはその先まで考えて行動していたのです。
cisが仮説で成功した話
ではcisさんがジェイコムの他にたてている仮説や仮説で成功した話を見ていきましょう。
日経平均銘柄
株価が高い銘柄を日経平均株価に採用すると、値が大きく動いてしまうため、1株で1万円を大きく超える任天堂や村田製作所は、日本を代表する企業でありながらいまだに採用されていない。
しかし、1万円超えの会社が1社でも採用されたら、その他の会社も順次組み入れられる可能性が高い、もしくは株価が高い銘柄を入れられるように日経平均株価の計算方法が変わるかもしれない。
どちらかが実現したら、発表された瞬間に株価が1万円超えで日経平均に採用されてない有力銘柄を買う。10億円ずつ5~10銘柄買う想定。
サンバイオ
再生細胞医薬品を開発するバイオベンチャーのサンバイオが新薬の承認を得られるのではないかということで、しばらくバブルにあった。
しかし臨床試験が不調に終わったということで、株価がたったの5日間で1万2000円台から2400円台まで下落しました。
信用取引で買っていた個人投資家たちがもう投げざるを得ないというタイミング、下にオーバーシュートする(行き過ぎた変動をする)可能性が高いと仮説を立てます。
朝一で36万株買って、寄り付いてから、株価がさらに上がり始めたので2万株買い足しまし、その後戻したところで売却しました。
ちなみにこの取引では、友人で1億2000万円の資産が4980万円の借金になったという人がいるそうです。相場は怖い。
仮想通貨の取引
仮想通貨の特徴としてサーバーが弱くて止まりやすいことがあった。ビットフライヤーでもコインチェックでもザイフでも、取引所のサーバーがビジーになって受け付けなくなることがある。そうなると値がいきすぎてしまう。だからこそつけこめるスキがあると仮説を立てていました。
一時は200万円を超えていたビットコインも2018年になってどんどん下降。そこでcis氏は150万円を割ったときにはロスカット売り(自動的に行われる強制決済による売り)が大量に発生し、さらにサーバビジーで買い注文を受け付けなくなり下がり過ぎの状況が発生すると予測。
そこで、ロスカットされたビットコインを全部買うため、あらかじめ120万円から100ビットコインずつ段階的に買い注文を出しておいた。
すると、10日くらい経つと本当にビットフライヤーには注文が入らなくなり、cis氏の買い注文がどんどん約定します。注文が動いていたら拾っていくのは無理だが、止まってしまっているため、前もって入れておいた買いが約定していく。
その後、半分くらい戻ったところで売って、1億5000万円ほどの利益になりました。
cisの失敗談
ここまで成功例を見てきましたが、長年相場を張っている中で当然失敗もしています。
1億円の価値がある言葉
2006年1月16日当時個人投資家に人気のライブドアに東京地検特捜部が家宅捜索したことから始まるライブドアショック。
cisさんは、ライブドアの資産の評価額より低くなっていく株価をチャンスとみて、買いを入れます。しかしさらに株価は下がります。
買っても買っても下がる株価に恐れをなしたcisさんは損切りをします。
国の力で上場廃止にさせられるのでは?と感じて逃げたのですが、その後、実際そうなってしまいました。
その時の損失が3日間で5億円、2ちゃんねるの掲示板に投稿した言葉が、
この言葉は当時2ちゃんねるを大いに沸かせるのでした。
cisさんは当時を振り返り、「おっすおら損五億」を生み出せただけで1億の価値はあったと語っていますが、それでもマイナス4億ですけどね。
九死に一生
10年以上前にとある株を買ったときのこと。
当時ストップ高買いというのが流行っていました。ストップ高になりそうな銘柄にみんながワッと群がる。
その株はその日10万5000円でストップ高になるというところで、cisさんは9万後半から9万9000円、10万円、10万1000円、10万2000円と買い向かっていった。
ストップ高張り付きで利確する作戦でした。
ところが、買っても買っても売りが出る、それもあまりにも一瞬で買えてしまう。おかしいと思い、急いで調べたら、もう自分が筆頭株主になっていました。
保有は40億円分、そのときのcisさんの資産が28億なので、何かあれば破産となる領域まで行ってしまっています。
嫌な予感がしたcisさんは、ストップ高まで待たず、10万円の節目買いの壁にぶつけて、一気に売り切りました。
その日の引け後、なんと既存株主にとってすごく不利な増資のお知らせが!翌日はストップ安張り付きに。
まさに九死に一生でした。
何かしらインサイダー情報を持っていた大株主が売っていたとしか思えない
と振り返っています。
株式市場は恐ろしいところです、というか28億もっているのに、破産のリスクをとって40億もの売買を行うcisさんも恐ろしいですけどね!
最後に
いかがでしたでしょうか、参考になりましたでしょうか。
正直、専業だから出来る手法もあり、そこは日中は仕事がある人は厳しいですよね。ただ、学べる事はあります。
それは、「日々情報を仕入れ、相場の事を考え、仮説を立てておく」ことです。
未来の事はわからないとの発言もありますが、実際は予想し待ち構えています。中長期でもスイングでも「暴落するような事象が起きた時にどう行動するのか」など、あらゆる事態を想定して行動を決めておくことが重要ですね。
- 大地震が起きたらどうするのか
- オリンピックが中止になったら
- 株価がXXX円以下になったら
- 保有企業のバイトがSNSで粗相したらどうする
- 日銀がゼロ金利政策をやめたら
また、面白いと思ったのは一般的に
短期:ギャンブル(投機)
長期:投資
といわれますが、逆のことを言っています。
私は元々「投資はギャンブル」とのスタンスなので全くそちらは違和感ないですが、「すぐ先にあるわずかな優位性」を見極め短期で儲けられる人は、cisさんのような一握りの天才だけだとおもいます。
実はウォール街のグレートベア「ジェシー・リバモア」もcis氏と同様の事を言っています。
相場の動きを漫然と「期待して待つ」のは博打であり、忍耐強く待ち、シグナルを見出した瞬間「反応する」のが投資・投機である
リバモアは1929年の暗黒の木曜日に売りで1億ドルの利益を挙げた伝説のトレーダーですが、ジェシー・リバモアの生き様【1億ドルの利益を上げても破産した理由とは】にあるように最後は破産して不幸な最後を遂げています。
リバモアに似ている事は凄い事なのですが、その行く末まで同じとならなない事を願っています。
十分な資産はあるので全力投資はやめた方がいいのでは?と凡人の私は思ってしまいますね。
本記事は以上となりますが、cisさんの伝説や経歴に興味がでた方は次の記事でくわしくまとめています。現代の日本の基礎知識としてチェックしてみてください。
また、次の記事ではもっとも著名な長期投資家バフェットの意見と比較して、「投資のギャンブル性」「投資信託がありか」について論じています。チェックしてみてください。
参考資料
本記事作成にあたり次のサイト・本を参考にさせていただきました。
◆書籍:
一人の力で日経平均を動かせる男の投資哲学 おすすめ
個人投資家の本としては異例の大ヒット、現役の一流トレーダーが本音で投資への考えや投資スタイルを語っています。破天荒なエピソード満載で面白くスラスラ読めてしまいます。
◆WEBサイト:
cis本、幻のあとがき
cisさんは、なぜ株で230億円もの資産を築けたのか?
230億の男が明かすトレードのスタイル
- 本カテゴリの記事は基本的に主人公寄りで書いています。
- 極力資料に基づき記載していますが、会話の内容など一部脚色しています。
(おしまい)