南海泡沫事件とは、世界3大バブルの一つでバブルという言葉の起源ともなった「泡沫会社」が登場する事件です。
イギリスで起こったこのバブルでは、あの天才ニュートンも失敗しています。

株価が地球に引っ張られている...
- 南海泡沫事件はなぜ起こったのか?
- 泡沫会社というバブルがはじけた原因
- なぜ天才ニュートンでさえも失敗してしまったのか
あの天才さえも騙されたバブルの罠、本記事で学び、今後の危機に備えましょう。
バブルの起源、南海泡沫事件はなぜ起こったのか

南海泡沫事件の時代背景
18世紀初頭、イギリスとフランスの間で植民地を奪い合ったアン女王戦争(1702-1713)など、ヨーロッパは戦火に包まれていました。
長引く戦火で、各国は経済的にも疲弊。
そんな中、1711年にイギリスの危機的な財政状況を救うために 南海会社という会社が設立されました。
南海株ブーム

社長のジョー・ブラント率いる南海会社は政府の借金を肩代わりにする代わりに、次のような特権を政府から付与されていました。
- 政府から引き受けた借金の5~6%を毎年受け取る権利
- 当時ヨーロッパで大流行であった「南米との独占貿易権」
- 国民に宝くじの販売を行う権利
これらの特権、特に宝くじの販売により同社は莫大な利益を挙げました。
さらに
「南米との貿易で金銀がたっぷり入ってくる!」
「メキシコ人がイギリスの綿織物を買い付けに来ていて南海会社にすさまじい利益をもたらしている!」
などの噂がまことしやかに広まり、同社の株価は高騰しました。
そして、ジョー・ブラントは、「フランスのジョン・ローのミシシッピ計画」を参考に「国債と株の交換して国の借金の帳消し」をしようと目論みました。
そうすれば、「借金の5~6%を毎年受け取る権利」を持つ南海会社はボロ儲けです。
株価の高騰により、多くの人が突然金持ちになり、それを見てさらに多くの人が株を購入しました。
老若男女を問わず、金持ちも貧乏人も皆が投機に熱中。
また、南海株を担保にお金の貸し出しも行っており「南海株価が上がるほどお金が借りやすくなる。借りたお金でまた株を買う」という状態に。
南海会社の株価はたったの半年で10倍に跳ね上がります!
イギリスの熱狂
南海会社への投機熱を見た人々の中には、これに便乗して儲けいようと考えて会社を設立する人がいました。
さまざまないかがわしい会社が設立され、株式を発行して資金を調達するようになりました。
- 水銀を純金属へ変換する会社
- 永久運動を開発する会社
- 海水から金を取得する会社
なかには、「事業の内容は後日発表するが、高配当だけは約束する」という、何の実態もない会社の株式に応募した人も多数いました。
当然詐欺でしたが、そんな詐欺に騙されるほど人々は熱狂してたのです。
こうした会社は、泡のように多数設立されたので「泡沫会社」と呼ばれました。
これが、「バブル」という言葉の起源です。
ロンドン株式市場の株価は、1695年から1720年の間に100倍になりました。
しかし、そんな熱狂も終りが来ます。


政府の規制をきっかけにバブルは崩壊するのです。
泡沫会社というバブルがはじけた原因
詐欺が横行し資金を集めていることを見かねた政府は、泡沫会社を禁止する命令を出しました。
じつは、この命令の背景には南海会社に資金を集中したい、ジョー・ブラント の強い要望もあったのです。
ところが、泡沫会社の株価が暴落したことで、 泡沫会社の株主が破産し自身が持っている南海株を売却、南海株式会社の株も暴落。

しまった。。。
泡沫会社の株の暴落を見て、南海株の株価高騰が急上昇過ぎると、うすうす感づいていた人も一気に売りに転じます。
6月までは、1050ポンドだった株価は、8月には850ポンド、9月中旬には400ポンド。
9月末に南海株は200ポンドを割り込む水準に落ち込んでしまいました。

さらに政府が、事業を多角化した泡沫会社を実際に訴えるという令状が発表されると、株式市場は大パニックに。
南海会社だけではなく、泡沫会社の株価も軒並み暴落....
わずか1720年の1年間に190社が設立&株式募集がされていましたが、生き残ったのはたったの4社というありさまでした。
ほとんどが実績も実体もない会社だったのです。
この南海株の暴落で損失や借金の苦で自殺する人も多く、破産者が大量発生。
イギリス中の人がどん底に落ちてしまったのでした。
なぜ天才ニュートンでさえも失敗してしまったのか
「万有引力の法則の発見」した、天才ニュートンもこのバブルに巻き込まれています。
- プラトンは私の友、アリストテレスは私の友。しかし、最大の友は真理である。
- 神はすべてを数と重さと尺度から創造された。
- もし私が価値ある発見をしたのであれば、それは才能ではなく、忍耐強く注意を払っていたことによるものだ。
彼は南海泡沫株の売買で資金を2倍に増やしました。
ところが泡沫会社が6ヶ月以内に8倍になるなど暴騰していくのを見ると我慢できずに当初の3倍の資金で再参入。
しかしそこが天井付近だったため、資金を倍にするどころか大半を失ってしまい10億円の損害をだしてしまいました。
彼はこんな言葉を残しています。

天体の動きなら計算できるが、群衆の狂気は計算できない
バブルの魔力の前では、天才さえも冷静さを保つことはできないのです。
バブルは続く
3大バブルの話はこれで終わりですが、その後も人類はバブルを繰り返してしまいます。
次にご紹介するのは、日本で起きた「うさぎ」にまつわるバブルです。
参考
本記事作成にあたり次のサイト・本を参考にさせていただきました。
新訳 バブルの歴史 ──最後に来た者は悪魔の餌食
なぜ、バブルは繰り返されるか?
南海泡沫事件:バブルの語源となった世界3大バブルの一つをわかりやすく解説