最も記憶に新しい世界的経済危機、2008年9月の「リーマンショック」はなぜ起こったのでしょうか。
現在の日本だと実体経済が危なくても日銀の大量購入や異次元緩和などの対策で、無理やり破綻を防いでいたりします。
アメリカには、世界最強のFRB(連邦準備制度)があります。なぜ破綻は防げなかったのでしょうか。
- 住宅バブルとリーマンショックはなぜ起こったのか?
- バブル崩壊の原因は
- どうすればバブル崩壊を察知できるか
リーマンショック数日前のある会議
ダイモン(JPモルガンCEO)は爆弾を落とした。
朝起きてずっと考えていたことだった。
彼の世界終末の日のシナリオだった。

彼は続けた。
「ただちにリーマンブラザーズの倒産にそなえてほしい」
間を置いた。
「そしてメリルリンチとAIGの倒産。」
また間をおいた。
「モルガンスタンレーの倒産」
最後にひときわ長い間をおいて、

電話の向こうでいっせいに息を呑む音がした。
リーマンショックの時代背景
2001年頃、アメリカではITバブルが崩壊したあと景気が悪化したため、対策として金融が緩和されました。
金融緩和で住宅価格が下がり、住宅を買おうとする人が増えたことにより、住宅の取引価格は上昇。
そうすると新築の住宅建築も増加します。
値上がり期待で投資として住宅を購入する人も増えてきました。
サブプライムローン問題
住宅バブルの一つの要因がサブプライムローンです。
サブプライムローンとはプライムレート(※最優遇貸出金利)では貸せない相手への貸出と言う意味です。
サブプライムローンの多くは「住宅価格の上昇を見越してローンを組ませ、2年後に借り換えさせて証券化する」ことを目的として組まれていました。
銀行は、証券化することで借り手との関係がなくなり、自己資本比率規制がクリアできるので、積極的に販売したのです。
この怪しい証券は、高金利に設定されており、しかもムーディーズなどの一流格付け会社が高評価をつけていましたので売れました。
なぜ怪しいのにこう評価が付くのか?

銀行は、証券化した時点で貸し手との利害関係はなくなり、リスク0。
返済できなくても損をするのは投資家なのです。
そのため銀行の貸し出し審査は段々甘くなっていきました。
2004年、FBIは非プライム警告します。

住宅ローン業務における重大な信用リスクとして住宅ローン詐欺が゛大発生゛している、このままでは大問題になりかねない
しかしFBIの警告があったにもかかわらず、サブプライムローンは拡大して行きました。
審査も甘く、2007年にはサブプライムローン全体の40%は自動審査で成約しているような状況でした。
住宅バブルを肯定する理論
住宅の価格は上昇してもその他の物価は上がらなかったため、金融は緩和状態が続きました。
住宅産業は活況となり、その価格は説明が困難なレベルまで上がっていきます。
しかし、その上昇を説明する理論があり、人々を安心させていました。
それは、次のようなものでした。
アメリカには移民が大量に流入してくるため、今後大量の住宅を必要とするから、住宅価格の上昇も住宅建設の活況も理にかなっている
人が増えるのだから、住宅価格の高騰は正当なものだと言うのです。
サブプライムローンの限界
ITバブルから立ち直り、景気が回復して行くにしたがい、FRBは金利を緩和状態から引きしめていきます。
具体的には2004年7月から2006年7月にかけて金利を引き上げています。
このころからサブプライムローン問題が何度が取りざたされますが、 当時のFRB議長のバーナンキ氏は楽観的でした。

サブプライムローン問題は 「抑制」される公算が大きい
引き上げ方向の金利政策を変えません。
しかし、水面下では問題はどんどん深刻化していました。
金利が上がるとローン金利も上がり、住宅価格の上昇は徐々に抑えらていき、最終的には止まってしまいました。
そうするとサブプライムローンは「価格の上昇」を前提として組んでいるためん成り立たなくなり焦げ付きます。
サブプライムローンが焦げ付くと住宅は競売に出され、さらに住宅価格は下がっていきます。

で、でもバーナンキ議長が大丈夫だって言っていた。
そのうち持ち直すはずだ。
しかし、、、、、、

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そうです。
住宅バブルは終わったのです。
アメリカの住宅バブル崩壊の原因
このバブルの崩壊の原因はあきらかで、FRBの利上げにより「住宅価格が上がり続ける」というサブプライムローンの前提が崩れたことでした。
そして、このバブルの崩壊はアメリカの大手投資銀行の破たんをきっかけに世界に広がっていくのです。
リーマンショック
サブプライムローン問題が社会問題化するなか、2007年7月アメリカの大投資会社「ベアー・スターンズ」に危機がおとずれます。
原因は徐々に表面化してきたサブプライム損失を危うく思った顧客や貸し手がベアー・スターンズから資金を撤収し、さらに金融機関が一斉に返済を迫る「取り付け騒ぎ」が起きたためです。
もう駄目かと思われましたが、アメリカの銀行最大手、JPモルガン・チェースに買収され、寸前で破綻が食い止められました。
続いて問題となったのがリーマンブラザーズです。

投資家は自分の持っている証券にサブプライム関連債券が混じっていることを知り、損失を恐れ慌てて売りに転じたことで市場は大混乱しました。
ローン引き受けの筆頭だったリーマン・ブラザーズは、もろにこの影響を受けました。
リーマン・ブラザーズはアメリカで第四位の大手証券会社でしたが、負債総額は6130億ドル(約60兆円)という莫大なものでした。
リーマンのCEOファルドは、バンク・オブ・アメリカ 、シティ、モルガンスタンレー、などあらゆるところに声をかけ、リーマン生き残りに奔走します。

こんなものは何でもない、生き残る道はあるはずだ。
ファルドはリーマンが独立してからずっとCEOを務めており、ウォール街の王様とも呼べる存在でした 。
そしてなんとか40億ドルの出資を受け、一時凌ぎをします。
さらに生き残り策を模索していますが、絶望がファルドを襲います。
当てにしてた公的資金が受けられないと言うのです。
破綻へのカウントダウン
「ベアー・スターンズ」の危機と同時期、2007年7月にフレディマック、ファニーメイが政府の管理下に入ることなりました。
税金の投入に政府は世間から一斉に非難を浴びます。
これにより、政府系の期間は民間企業に対する公的資金投入に及び腰になります。

残念ながら「救世主」になる事はできない。
こうして、リーマン・ブラザーズが政府支援を受ける目が無くなってしまいました。
再度、アメリカの他の大手銀行や投資銀行に融資を求めますが、他社も余裕がありません。

うちも余裕がない、助けにはなれそうにない。
打つ手なし、ファルドは身売りを覚悟。
イギリス・ロンドンに本拠を置く国際金融グループのバークレイズが買収に名乗りを上げます。
自ら築き上げた帝国を売り渡すことにファルドは身を切られる思いでしたが、消滅の危機を回避でき安堵します。
ところが、危機は終わりませんでした。
英政府の介入により、英バークレー証券によるリーマン・ブラザーズ買収提案が白紙撤回されてしまいます。

完全に...終わった。
こうしてリーマンブラザーズは破綻しました。
リーマンショックの影響
この混乱は、その他の大手投資銀行も襲います。
メリルリンチ、モルガンスタンレー、ゴールドマンサックス、全ての投資銀行が消えるか、公的資金を受ける事態とな立ったのです。
皮肉なことにリーマンショックの影響があまりにも大きかったことでその他の投資銀行は公的資金で守られました。
そして、その悪い波は日本も襲います。

世界的な金融収縮により、日本も金融収縮の流れになり、貸し渋りから日本の景気に悪影響がでました。
ただでさえ下り坂だった株価は一段と下がり、多くの投資家が破産しました。
住宅バブルで失敗しないためにはどうすればよかったか
この時代に投資をしていたとして、どうすれば住宅バブルで失敗(破産)しなかったのでしょうか。
最大のポイントは、住宅の上昇を許容する次の理論です。

アメリカには移民が大量に流入してくるため、今後大量の住宅を必要とするから、住宅価格の上昇も住宅建設の活況も理にかなっている。
これを疑えるかにかかっていたと思います。
よく考えればアメリカには昔から移民が大量に流入しており、昨今急に移民流入が増えたわけではなく、住宅産業が急に活況になった説明になっていないのです。
また、土地や株価と違い、住宅価格は建築費から乖離して上昇するのは考えられないのですが、上記の理論を信じた人々は何の疑問も持たなかったのです。
ただ、あとから言うのは簡単で、中々うまく気付けないものだと思います。
そこで、様々なケースをインプットして対策を考えて置くことが「次のバブル」に対する一番の処方になると考えます。
次の記事では、8つのバブルの分析結果を元に、崩壊時に失敗しないための対策をまとめていますので、こちらもぜひ参考にしてください。