キングコングの西野亮廣さん、最近「映画 えんとつ町のプペル」の宣伝でテレビに出まくっており、改めて活動内容に興味を持たれた方も多いかと思います。

ディズニーの倒し方が見えてきた
そこで、わかりそうでわからない西野さんの活動をまとめてみました。
- 西野亮廣の目標
- 西野流、ディズニーの倒し方
- 資金源であり活動方針である「オンラインサロン」
- 西野亮廣の一番の才能とは?
7分ほどの内容ですので、ぜひ最後までお付き合いください。
西野亮廣の目標
さまざまなメディアで発言している西野さんの目標は次のようなものです。
- エンタメで世界を獲る
- 300年続くエンタメを創る
- ウォルト・ディズニーを倒す!
壮大でいいですね、「Netflix 超える」なんてのもあります。
これらの目標の始まりは25歳の頃、フジテレビの番組「はねるのトびら」がゴールデンに進出し人気絶頂の頃です。
最高の舞台が整い、人気絶頂だったのですが、見上げてみると、タモリ、さんま、たけしさんと言った先輩の背中はまだまだ遠く、追い越す気配が全く感じられなかった。
今の追い風最高の状態でこの程度の人気なら、将来、偉大な先輩に追いつくの無理だろうと悟ってしまったのです。

同じレールを走っていっても勝てない、背中を押して押し上げてしまうだけだ。
違うレールを走ろう
そこで活動の軸足をテレビから移し、絵本など違う分野で、しかも世界に向けたエンタメを創る活動にシフトしていったのです。
確かに、これらの大きな目標の達成を目指せば、その道の途中で、タモリ、さんま、たけしさんをも追い抜けます。
西野亮廣流、ディズニーの倒し方

では、どうやってディズニーを倒し、「エンタメで世界を獲る」のか。
具体的な活動内容と戦略をまとめました。
西野コンテンツの中心「えんとつ町のプペル」
現在の西野さんの代表作は、映画にもなっている4冊目の絵本「えんとつ町のプペル」です。
それまで書いた1~3冊目も5000部売れればヒットと言われる絵本で2万部発行とヒットしていましたが、西野さんは全く納得がいっていませんでした。
そこで4作目は客に届けるまでを制作と捉え販売にも参画、そこでビジネスマンとしての才能が開花します。
- 業界初、分業制で絵本を作り、クオリティを上げる
- クラウドファンディングで出資を募り、自分事としてファンを増やす
- 全ページWEBに無料公開。ネタバレした、いい作品しか売れない絵本の特性に挑む
いずれの施策も著名人が斬新な試みをしていると言うことで話題に、さらにアンチを巻き込んでの論争にも発展し、物凄い広告効果となります。
「えんとつ町のプペル」は累計65万部(2021年1月時点)と異例の大ヒットとなりました。
そして2020年12月25日、本命の映画が公開、1月中旬に早々と動員数100万人を突破し、大ヒットといえる数字を残しています。
目標は国内だけで1000万人、専用映画館の作成やそのほかにもビックプロジェクトが動いているようで、まだまだ目が離せません。
海外ではすでに40か国以上からオファーが来ているようでそちらの展開も楽しみです。
えんとつ町をつくる
狙ってヒットさせている「えんとつ町のプペル」は凄いですが、「ディズニーを倒す」と言っていますのでヒット作があるだけでは戦えません。
また、今からニシノーランドを作ったところで、背中を追いかけるだけで追い越すことはできません。
西野さんが着目しているのは「町作り」。
ポイントは「参加できるエンタメ」と「伸びしろ」です。
ディズニーはすでに95点以上のエンタメを作ってしまっています。それは素晴らしいし、追いつくのは難しい。
しかし、高得点だけに100点までの「伸びしろ」は少ない。
また、著作権が完璧に管理されていて、一部のキャスト以外は作る側には回れない。
そこで、ランドを作って提供するのでなく、0から自分たちで、人々が生活する「えんとつ町」を作るという「エンタメ」を提供するのです。
その取り組みにはディズニーにはない「0から作り上げる伸びしろ」とクラウドファンディングで狙った「参加することでファンを作る」仕掛けが組み込まれています。
すでに地元・兵庫に土地は、購入済みで手始めに美術館を作ろうとしています。
「アニメの聖地巡礼」と「町おこし」が合わさったようなワクワクする試みですね。
さらなる仕掛けとして「現実と物語の境界線を曖昧にする」というのもあります。
「えんとつ町のプペル」や西野さんの絵本には「しるし書店」「スナックキャンディ」「レターポッド」「天才万博」とすでに現実世界で西野さんが作っている仕組みやイベントやお店が登場します。
兵庫のえんとつ町にも「スナックキャンディ」ができて「天才万博」などのイベントが開催されると、人々はより物語の中に引き込まれていくでしょう。
ディズニー弱点は「著作権」
西野さんはディズニーの弱点として「著作権」を挙げています。
ディズニーは特に「著作権」に厳しいことで有名、キャラクタービジネスをで儲ける上では当然のように思いますが、そこに攻略のヒントがある。
えんとつ町のプペルは著作権をフリーとしていてその狙いは「拡散」。
ディズニーは著作権が厳しいため、一般人がキャラクターを使った拡散ができない。
一方、プペルは自分達ではない第三者が自由に作品を勝手に広げてくれる。
SNSだけでなくTシャツやマグカップなどのグッズ販売なども自由ですから、作品が有名になればなるほど加速度的にそれらは増えていくでしょう。
すでにその効果は出ていて、西野さんの知らないところで勝手に『えんとつ町のプぺル列車』というのが滋賀県で走っていたんだとか。
著作権フリーで作品が爆発的に広まり、自由に「えんとつ町」が、中華街のように日本中、世界中に出来ていったら、ディズニーを超え、エンタメで世界が捕れるかも知れません。
資金源であり活動方針である「オンラインサロン」

著作権フリーなどお金にこだわらない姿勢をみせている西野さん。活動を支える最大の収入源はオンラインサロンの売上です。
西野さんのオンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」は日本最大で、約7.4万人の会員がいます(2021年1月現在)。
月額980円なので単純計算で年8.7億、当然、事務費用や税金はありますが、大きな金額が手元に残るのは間違いありません。
そのメインコンテンツは、毎日の西野さんの投稿記事です。本人も言っていますが「ほぼメルマガ」、ではなぜ国内最大規模の人数を集められるのか?
そのポイントとして「信用」と「物語性」をあげています。
Point①「信用」のある人物に人が集まる
自分に課金してくれるコアなファンを掴むための「信用」の重要性を示すエピソードとして、ゲス不倫事件を取り上げています。
タレントのベッキーと「ゲスの極み乙女。」のボーカル川谷さんの不倫事件、共に世間を騒がせた責任から活動休止となりましたが、川谷さんが数か月で復帰したのに対してベッキーは約1年の休業を余儀なくされました。
ベッキーは好感度や認知度は高かったが、世間から「信用」を得ていなかった、本当のファンが少なかった。一方、川谷さんには音楽に対しての本当のファンがいたから早期復帰が可能だったというのです。
その他、認知度は低く有名ではないけど信用を持っている「ホームレス小谷」さん、認知はあるけどクラウドファンディングで惨敗したロンドンブーツの田村淳さんの話など、信用の重要性を示したエピソードについては「ホームレス小谷 | 西野亮廣が語る、その生き方が示す現代の新しいお金の稼ぎ方」で紹介していますので割愛します。
次の図は信用と認知度をあらわした図です。

これからの時代、認知よりも信用がある側(図の上側)に行く必要があると言うのです。
信用を得るためのポイントして次のようにものが挙げられています。
- 嘘をついてはいけない
- 言うことをコロコロ変えてもいけない
- 最初に無償で尽くす(GIVE)
- 万人受けする薄っぺらいものではなく、極端でも一部の人には熱狂的に支持される芯のあるキャラクター
信用さえあれば、クラウドファンディングなどを利用し、いつでもマネタイズはできるという話です。
ただ、オンラインサロンなどで多くの人を継続的に集めるには、当然メリット(売り物)がなくてはいけません。
西野さんの売り物は「西野さん自身の物語」になります。
Point②人々を魅了する「物語」
2つ目のポイントが物語性。
西野さんのオンラインサロンのメインコンテンツは、毎日の投稿記事により覗き見れる「エンタメで世界を獲る」ための波乱万丈のドラマ。
当然、ストーリー(活動)は平凡ではなく、常に新しいことにチャレンジし、格闘漫画のように一つクリアしたら、さらに強い敵(課題)に挑まなければなりません。
たとえそれが失敗しても、儲からないものであっても物語を楽しんでもらえば、オンラインサロンの会員が増えて活動資金は確保できる。
面白いものでオンラインサロンの会員数は、西野さんの活動が上手くいっていないと増えるし、順調だと減るそうです。
人々は平凡で上手くいっている物語には興味がないのです。ただし、本当に負け続けたら連載終了の非常に厳しい戦いとなります。
難しいかじ取りが必要で西野さんは「コスパ最悪」と発言しています。
オンラインサロンに活動が寄っていく
自然と西野さんの振る舞いや活動もオンラインサロンの会員が増えるような物にカスタマイズされていきます。
定期的な挑戦や事件を演出しなければなりません。
さらに、うがった見方をすれば、行動を正義のヒーローに寄せてきています。
ハロウィンの渋谷のごみ拾いやラオスに小学校を寄付、はれのひ事件のリベンジ成人式など、行動の動機が「正しい事、正しく興味をもってもらえるもの」になってきています。
まあ、慈善事業の動機なんてなんでもいいでしょう、要は本当に行動し、成果を出しているかです。
芸人としての西野亮廣

最近の活動を振り返ると、どうしてもプペルやビジネス展開の話となりますが、もともとはお笑いコンビ「キングコング」として世に出たお笑い芸人です。
25歳のころにタレント活動に限界を感じ、軸足を他の活動に移していきました。
ところが、最近のテレビの出演を見ると話術などタレントとしての技術にも磨きがかかってきているようです。
分析に定評のある親しい後輩の中田敦彦さんは次のように西野さんの話術を評価しています。

聞き役として非常に高いスキルを持っている。キャッチャーでいうとどんな球がきてもミットでいい音をさせて、後ずさりしてくれるような。しゃべり役を引き立ててくれる。
極めつけは、年一回程度出演しているテレビ東京のゴッドタンです。あの番組での西野さんのいじられっぷりは本当に面白い。
絵本やビジネスで結構な実績を出してきていますが、ボロボロに言われたり、服を破かれたり、肛門をいじられたりするギャップが凄いです。

相方の梶原さんも言っていましたが、今テレビで一番面白いカラミではないでしょうか。
西野さんも大事に思っていて「キンコン西野が語る『ゴッドタン』の恐怖-西野亮廣」語っていましたが、普段の活動でも意識してしまうそうです。

来年のゴッドタンで処刑されることを考えたらここでは、おどけずにカッコつけておくか。などゴッドタンの素材として生きてしまう。活動の軸が侵食されていて、このままいくと製作費を貢ぎだしてしまいそう
ゴッドタンで弄られながらも強烈に受けた時の快感が忘れれないそうです、やっぱり根はお笑い芸人ですね。
ゴッドタンのプロデューサーの佐久間さんと西野さんいじりで定評のある東野さんがラジオで褒めていました。

芸人さんによってはいじめに見えちゃうじゃないですか。でも西野って全部、毎回1年かけてヘイトを集めてきてくれて(笑)。ちゃんとヘイトを集めてきてくれるんで、正々堂々とやりあえるんですよね。

だから俺、アメトーークで西野のやつ、なんでやるかわかります? 俺、あれは劇団ひとりへのジェラシーなんです(笑)
参考「東野幸治と佐久間宣行『ゴッドタン』西野 vs 劇団ひとり対決を語る」
西野さんが、他の活動で活躍すればするほど、いじられ役としての面白さは上がっていきますので、今後が楽しみです。
ただ、あまり年齢が上がっていくと、イジル人にも格が求められるのでその減少が。。。ってどうでもいい余計な心配ですね。
相方の梶原さんもYouTuber「カジサック」として勢いを取り戻していますし、既存の大御所と違うレースで闘う戦略はすでに結果を出しつつあります。
ちなみにテレビではないですがメディア出演は続けていて、YouTubeで「毎週キングコング」をやっています。これも面白いですよ。
西野亮廣の才能とは?
さて、ここまで西野さんの最近の活動に触れてきましたが、西野さんの才能とは何なのでしょうか。
芸人 × 芸術家 × 起業家
ここまで示した来たものをまとめるとこんな感じでしょうか。
一つ一つで稀有な才能をみせていて、それが掛け合わされて、他の誰にもまねできない存在感を見せています。
ただ、西野さんが常々言っている「芸人 」= 「人と違う面白い事をする人」との定義から考えると、次のまとめ方のほうがいいかなと思います。

もちろん、絵本や脚本やビジネスの才能もありますが、芸人の生き様の一つに過ぎず、西野さんの一番の才能は「芸人」として生きる力ではないでしょうか。
いち早く世間の風向きをとらえ、人と違う発想で世間をあっと言わせる「芸人」としての生き方に魅了され、人々はオンラインサロンに集まっています。
①芸人として生きる
②オンラインサロンの会員が増える
③資金を得てさらに大胆な手が打てる
好循環を確立している西野亮廣さん。
もしかして、西野亮廣さんの最高傑作は、オンラインサロンで覗き見れる西野亮廣さんの芸人人生そのものなのかもしれません。
注:西野亮廣エンタメ研究所の勧誘記事ではありません。